〜Q&A​〜月経の調子がおかしい

月経の調子がおかしい④

2018.08.30

Q 現在33歳で、来年結婚を予定しているのですが、もともと月経不順があり、以前産婦人科を受診した時に、排卵していないかもしれないと言われました。何か治療をした方がいいのでしょうか?
A
月経があっても排卵していない状態を、「無排卵周期症」といい、月経がひと月に2度くる、2か月以上間隔があく、少量の出血がダラダラ続くなどの症状をきたすことが多くなります。排卵しているかどうかは、基礎体温をつけることでご自身でも確認できます。排卵をしていない場合は、血液検査等を行い、甲状腺疾患や高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣など明らかな原因がないかを調べます。治療方針は無排卵の原因や状態にもよりますが、すぐに妊娠を望んでみえない場合は、漢方薬やホルモン剤を使い、ホルモンバランスを安定させ、月経周期を整えます。現在、妊娠のご希望がある場合は、治療の初期から排卵誘発剤の内服または注射治療も考慮します。この排卵誘発治療には、一度に複数の卵子が排卵することによる多胎妊娠の可能性や、卵巣が過剰に刺激され、卵巣腫大、腹水貯留などの症状をきたす可能性があることなどを、患者さんに十分にご説明し、治療を進めていきます。

投稿者:おかだウィメンズクリニック

月経の調子がおかしい⑤

2018.08.30

Q 30歳になってから、月経時の出血が増えてきた気がします。産婦人科を受診した方がいいですか??
A
月経中、ナプキンが1時間ももたないほど出血量が多かったり、月経血の中にレバーのような血のかたまりが多くみられる場合を過多月経といい、最近の報告では、月経のある女性の約4割に認められるとされます。めまいや立ちくらみ、疲れやすいなどの症状を伴うことや、血液検査で鉄欠乏性貧血と診断されることもありますが、症状に慣れてしまい、産婦人科を受診することなく経過をみている方が多いのが現状です。 過多月経の原因としては、良性疾患では子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープなどがあり、内診、超音波、MRI、子宮鏡検査などで診断します。加えて、子宮体がんなど悪性疾患の可能性もあるため、定期的ながん検診も必要です。また、子宮に明らかな異常がない、血液凝固異常などの内科的疾患や、婦人科的ホルモン異常に起因する過多月経もあります。 重い貧血が長期間続くと、心臓に負担がかかり、最悪心不全に至るケースもあるため、過多月経症状がある場合は、我慢せずに、早めに受診して頂きたいと思います。

投稿者:おかだウィメンズクリニック

検診で異常がみつかった②

2018.08.30

Q 検診で子宮頸がんの検査を受けたのですが、「要精密検査」の結果が出ました。出血など何も症状はないのですが、がんなのか心配でたまりません。精密検査というのは、具体的にどういう検査を行うのでしょうか?
A
子宮頸がんは、異形成(いけいせい)という前がん状態を経てがん化することがわかっており、検診で行う細胞診検査では、がん細胞だけでなく、がん細胞になる前の細胞も見つかります。実際、がんと診断されるのはごく少数で、大部分は自然に消える可能性のある異形成であり、「要精密検査」イコール「子宮頸がん」ではありません。 細胞異常の状態を詳しく調べるために、精密検査として「コルポ診」と「組織診」が通常セットで行われます。コルポ診とは、コルポスコープと呼ばれる器具を用い、子宮の入り口を拡大して観察する検査です。肉眼では見えない病変の広がりや前がん病変、初期がんを確認します。さらに コルポ診で異常が疑われた部分の組織を数ミリ取って調べる検査が組織診で、病変がどのくらいの深さまで及んでいるかを確認し、異形成の程度、悪性度などを診断します。 また、子宮頸がんを起こす原因とされているヒトパピローマウイルス(HPV)感染を調べるために、細胞診と同様に子宮頚部を擦過する検査を行うことがあります。HPVのどの型に感染していると、異形成からがんに進むリスクが高いのかということもわかってきており、型を調べる「タイピング検査」を追加する場合もあります。 精密検査を行い、進行した癌になる前の早い段階での細胞異常を確認し、今後の方針を決めることが大変重要です。
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投稿者:おかだウィメンズクリニック

なかなか妊娠できない①

2018.08.30

Q 妊娠を希望しており、基礎体温をつけているのですが、月経が不順で、いつ夫婦生活を行えばいいのかよくわかりません。排卵検査薬を使った方がいいのでしょうか?
A
基礎体温をつけることで、低温相と高温相の2相性になっていれば、排卵はあると確認できますが、いつ排卵するかを予測することはなかなか難しく、特に月経不順の方は、夫婦生活のタイミングがとりにくいと思います。 排卵前、卵巣で作られるエストロゲンが上昇し、一定の濃度を超えると、脳の下垂体前葉から黄体形成ホルモン(LH)が大量に分泌され、排卵を促します。この大量分泌をLHサージといい、サージ開始から34~36時間、サージのピークからは10~12時間で排卵が起こります。 排卵検査薬は尿中のLHサージを検知し排卵を予測する方法で、陽性反応が出始めてから、何回か夫婦生活を持たれると妊娠する可能性が高くなります。一般的に、排卵が近づいてくると、エストロゲン上昇の影響で、さらさらとした粘り気の少ないおりものも出るようになり、このおりものが出始めてから排卵検査薬 を使い始めることで、月経周期が不規則の方も、タイミングをとりやすくなると思います。

投稿者:おかだウィメンズクリニック

なかなか妊娠できない②

2018.08.30

Q 最近「妊活」という言葉をよく聞きますが、妊娠しやすい身体づくりで心掛けることはありますか?
A
妊娠しやすい身体づくりとは、卵子と精子の質が低下することを防ぎ、また卵巣や子宮の機能、男性機能が正常に働くことができるようにすることです。 アンチエイジングの観点からは、精神的なストレスや喫煙、大量の飲酒、激しい運動、睡眠不足を避けることは大変重要で、生活習慣を改善し、生活環境、場合によっては職場環境を見直すことが必要です。年齢とともに低下する抗酸化力、ホルモン産生力を高めるために、抗酸化物質を豊富に含む野菜や果物をしっかり採り、バランスのよい食生活を心掛けましょう。外食が多い時などはマルチビタミンミネラル、抗酸化サプリメントも有効です。さらに卵子、精子が正常に発育、成熟していく際に必要なホルモン、栄養素を供給するために、卵巣、精巣への血流が増えることは大変重要で、入浴はシャワーだけでなく半身浴を行うことやウォーキングなどの穏やかな有酸素運動やストレッチなど適度に身体を動かすことが必要です。いい卵子、いい精子を育てるために自分の身体を大切にするという感覚で、日常生活を送っていただきたいと思います。

投稿者:おかだウィメンズクリニック

なかなか妊娠できない③

2018.08.30

Q 10代の頃から、生理の間隔が2か月以上空くことが多いため、先日、産婦人科を受診したところ、多嚢胞性卵巣症候群の可能性があると言われました。妊娠しにくい体質なのでしょうか?
A
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS:polycystic ovarian syndrome)は、若い女性の月経不順で多くみられる疾患で、卵胞が発育するのに時間がかかって、なかなか排卵しない疾患です。超音波検査で卵巣に小卵胞(5~9㎜)が多数みられ、血中のLH(黄体形成ホルモン)、または男性ホルモンが高値であることから診断します。 原因は間脳-下垂体-卵巣系のホルモン分泌の不調によるものとされますが、インスリン分泌異常も原因の一つと考えられており、年齢とともに排卵障害が強くなる傾向があるため、妊娠のご希望がある方に対しては、排卵誘発剤等で治療を開始します。 内服薬の誘発剤(クロミフェン等)で反応しない場合は、漢方薬やインスリンの抵抗性を改善する薬を併用したり、FSH注射製剤で排卵を促します。 排卵するまで時間がかかる場合もありますが、多くの方は妊娠できますので、根気よく治療していくことが大切です。

投稿者:おかだウィメンズクリニック

なかなか妊娠できない④

2018.08.30

Q 先日、妊娠できない原因の半分は男性側にあると聞きました。近々結婚の予定があり、いずれ子供も欲しいと思っていますが、日常生活上気をつけることや、病院を受診した方がいいことがあれば教えてください。(28歳男性)
A
不妊カップルの男性側の問題は、精子をつくる機能が悪く、動いている精子の数が少ない、精子の通り道が詰まっていて精子が出ない、勃起不全、射精障害など性行為がうまくできないことです。精子の状態や性機能は女性同様、加齢とともに低下しますが、さらに生殖能力が落ちないよう、肥満や糖尿病などの生活習慣病を予防することが日常生活上、大事です。1日3食のバランス(カロリー、ビタミン、ミネラル)のとれた食事、適度な運動、十分な睡眠、深酒、喫煙をやめること。また、精巣は温めると精子をつくる力が落ちるため、長時間サウナに入る、膝上にパソコンをおいて仕事する、きつ目の下着を穿くことは避けるようにします。性感染症の可能性がある場合や、陰嚢に血管の瘤が数珠(じゅず)状に浮き出ている状態(精索静脈瘤の可能性)は、診察を受ける必要があります。最近では、ブライダルチェックとしてカップルで受診されるケースも増えています。

投稿者:おかだウィメンズクリニック

なかなか妊娠できない⑤

2018.08.30

Q なかなか妊娠しないため、夫婦で不妊症検査を受けたところ、精子の数が少なく動きもよくないと言われました。主人はBMIが26と肥満なのですが、精子の問題と関係がありますか?
A
肥満は、高血圧、糖尿病、高脂血症といった生活習慣病との関連が強いことが明らかですが、男性不妊も引き起こす要因とされ、具体的には内臓脂肪の蓄積が、男性ホルモンの低下やインスリン抵抗性の増加などの内分泌環境の変化、活性酸素の増加などの炎症性変化を引き起こし、その結果、精子数の減少、運動率低下、奇形率上昇といった精液所見の悪化が起きると考えられています。 対策として、食事療法と運動療法を行い適正なカロリーバランスにすることで、男性ホルモン、インスリン抵抗性が正常化し、精液所見が改善することがわかっています。また、減量がどうしても難しい場合、食欲低下薬やある種の酵素阻害剤、男性ホルモン補充治療などの治療を試みることもあります。 肥満の方全てが男性不妊になる訳ではなく、ご主人の精液所見の悪化が別の原因による可能性もありますが、若い生殖年齢のうちに、生活習慣を改善し、標準体重を維持することは、生殖能力の向上が叶うだけでなく、将来のメタボリック症候群の予防にも大変重要なことです。

投稿者:おかだウィメンズクリニック

なかなか妊娠できない​⑥

2018.08.30

Q 夫36歳、妻34歳の夫婦です。二人目の子供が欲しくて1年ほど経ちますが妊娠しません。一人目は自然に授かったのですが、産婦人科を受診した方がいいのでしょうか?
A
俗に言う「二人目不妊」は、一人お子さんがいて、その後次のお子さんがなかなかできない状態であり、不妊症治療を受けているカップルのうちの約3割とされています。出産後の授乳期間中は卵巣機能が低下していますが、授乳を終了してからも月経不順がある場合は、排卵が正常に回復していないこともあるため、早めにホルモン検査を行うことが必要です。また、出産が帝王切開だった場合や出産後に骨盤内感染が起きた場合などでは、卵管周囲に癒着が生じ、卵管の閉鎖や卵子のピックアップ障害などが起こっている可能性もあります。さらに、男女とも、30歳後半から卵子、精子の質の低下や卵巣機能、男性機能の低下が徐々に起こるとされており、一人目を妊娠された時と比べ、今後さらに妊娠する・させる力が低下してくることも考えられます。統計上、1年間避妊をせずに普通に夫婦生活を続けていれば 、約80%の方が妊娠するということもあわせて考えると、検査をして頂くことをお勧めします。
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投稿者:おかだウィメンズクリニック

子宮内膜症

2018.06.29

子宮内膜症とは

子宮内膜症は、子宮内膜またはそれに類似する組織が何らかの原因で、本来あるべき子宮の内腔以外の場所に発生・増殖する病気です。この組織は正常な子宮内膜と同様に女性ホルモンの影響で周期的に増殖・出血を繰り返し、血液が溜まる事で炎症や周りの組織との癒着をおこし、月経痛や性交痛、排便痛などさまざまな痛みをもたらします。良性の病気ですが、放っておくと症状の悪化や不妊症の原因になることもあるので、早期に発見し、治療を始めることが大切です。治療法には病変部を取り去る手術療法と消炎鎮痛薬、漢方薬、ホルモン療法といった薬物療法があり、病状の程度や患者さんの年齢、赤ちゃんを望んでみえるか、などを考慮し方針を決めます。子宮内膜症は再発例も多く、また治療に伴う副作用もあるので、医師との綿密な話し合いの上、オーダーメイドの治療をしていくことが大切です。

チェックリスト

  • 以前に比べて、月経痛がひどくなった。
  • 排便する時や性交の時、お腹の奥に痛みがはしる。
  • 月経周期に関係なく、下腹部や腰に痛みがある。
  • 月経血の量が多く、めまいやだるさなどの症状がある。
  • 赤ちゃんがなかなかできない。

子宮内膜症の診断方法

内診で痛みの部位、程度を調べたり、超音波検査やMRI検査で子宮、卵巣の大きさ・性状を確認したり、腹腔鏡で直接お腹の中をのぞくことで診断します。
また血液検査で、腫瘍マーカーの一種であるCA125の値を調べることも診断方法の一つです。

子宮内膜症の発生部位

子宮内膜症の発生部位

子宮内膜症の腹膜病変

子宮内膜症の腹膜病変

子宮内膜症卵巣チョコレート嚢腫
子宮内膜症卵巣チョコレート嚢腫

子宮内膜症卵巣チョコレート嚢腫

チョコレート嚢胞の画像診断

チョコレート嚢胞の画像診断

子宮内膜症の治療法

薬物療法
対症療法 鎮痛薬・漢方薬
内分泌療法

妊娠した状態に似たホルモン環境にする方法(偽妊娠治療といいます)と、偽閉経治療といって閉経の状態と似た状態にする方法があります。

  • 偽妊娠療法
    1)低用量ピル/EP配合薬療法
    排卵と子宮内膜の増殖を抑え、月経痛などの症状を改善させます。
    2)ジェノゲスト療法
    黄体ホルモンの働きにより、女性ホルモンの分泌を抑え、病巣に作用して諸症状を改善させます。
  • 偽閉経療法
    1)GnRHa療法
    閉経時に近いホルモン状態にして、病巣を縮小し、諸症状を改善させます。
    2)ダナゾール療法
    男性ホルモンの働きにより、女性ホルモンの分泌を抑え、直接病巣に作用して諸症状を改善させます。
手術療法

主に腹腔鏡を用いた手術が行われます。

  • 保存手術・・・病巣部のみを切除し、卵巣、子宮の正常部位は残します。
  • 根治手術・・・両側の卵巣を摘出し、場合により子宮も摘出します。

当院では、内膜症に対する手術は行っていないので、患者さんのご意向を確認し、手術をする病院にご紹介させて頂きます。

子宮腺筋症とは

子宮内膜症の一つの状態で、本来子宮内腔にだけあるべき子宮内膜組織が、子宮筋層(子宮の壁に相当する部分です)内で発育する病気です。子宮腺筋症では、子宮筋層内にある子宮内膜組織が月経周期に応じて出血をおこすために、その部分に出血に対する反応が起こり、子宮壁は次第に硬く大きくなります。子宮筋腫が筋腫の部分と正常の筋層の部分がはっきり区別できるのに対し、子宮腺筋症では子宮筋層内にばらまかれたように病変がみられるのが特徴です。閉経すると月経がなくなりますから子宮は小さくなり、子宮腺筋症はやがて治癒します。

子宮腺筋症の診断
子宮腺筋症の診断

症状のほか、内診や超音波検査、MRIなどの画像診断や腫瘍マーカーの一種であるCA125の値などから診断します。確定診断は切除した検体の病理組織診断によりますが、病理組織診断以外で、診断上で最も有力なのはMRIです。子宮腺筋症と子宮筋腫とは症状が似ており、ともに子宮が大きくなる病気です。子宮を残す手術を予定する場合は両者の区別が重要です。多くの場合、MRIで両者の区別は可能です。

子宮腺筋症の治療法

手術で子宮を摘出すること以外に、子宮腺筋症の確実な治療法はないため、症状がない場合や軽度の場合は、経過観察することになります。妊娠すると子宮腺筋症はある程度軽快するといわれています。将来、妊娠を希望される方は、早めに妊娠することを考えて頂くこともお勧めします。

対症療法としては、月経困難症や下腹痛に対し鎮痛剤を服用したり、過多月経による貧血に対し鉄剤を服用します。

内分泌療法としては、閉経前や体外受精治療前に、月経を止めて一時的な症状改善を図ることを目的とし、GnRHアゴニストを使用する偽閉経療法が行われることがあります。継続的に治療を行う必要がある場合は、低用量ピルやジェノゲスト(黄体ホルモン)を服用し、月経困難症や過多月経の改善を図ります。また、LNG-IUSという黄体ホルモンが持続的に放出される器具を子宮内に挿入する治療(商品名ミレーナ)も効果が確認されています。

手術療法では、前述したとおり、将来の妊娠の予定がなく、月経困難症、過多月経、下腹痛などがひどい場合は、子宮腺筋症を完全に治すことを目的とし、腹式子宮全摘術、腟式子宮全摘術や子宮鏡補助下腟式子宮全摘術を行います。その場合、卵巣を切除する必要はありません。一方、妊娠のご希望があり、MRIなどで腺筋症の病巣が子宮の一部にある程度限局していると考えられる場合は、その部分だけを切除することがあります。この場合、病巣の一部が残りますが、ひどい症状を改善できることがあります。患者さんのご意向を確認し、手術をする病院にご紹介させて頂きます。

投稿者:おかだウィメンズクリニック

健康で充実した毎日を過ごせるように

女性の方に対してのホームドクターとして、質の高い産婦人科診療を行ってまいります。

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