但し、40歳以上の方や卵巣機能の低下が目立つ方、採卵をできるだけ早くしなければいけない事情がある方は、刺激前に月経周期を調節せず、治療を開始することもあります。また、通常行う月経開始3日目頃からの刺激ではなく、排卵後から刺激を開始するなど臨機応変に刺激を開始するランダムスタート法を行うこともあります。
高刺激周期の方法の選択は、FSHが高め、AMHが低値、年齢が高いなど卵巣機能がやや低下している患者さんには、ショート法あるいはアンタゴニスト法を行うことになります。
またLHが高い多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の患者さんには、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を回避することも考慮し、基本的にアンタゴニスト法を選択します。
ロング法は、卵巣機能が良好で、刺激開始時あるいは開始後卵胞の大きさの不揃いが目立つ患者さんに施行することがあります。
低刺激周期の体外受精を行う際は、クロミッド、あるいはフェマーラという薬剤を月経3日目から内服を開始します。内服途中からは、少量のFSH製剤を併用して、体が選択してくれた卵子を必要数だけ育てるようにします。卵胞が十分に成長したら、GnRHアナログ製剤(下垂体ホルモン放出ホルモンの類似薬剤:商品名ブセレキュア)の点鼻薬で、卵子の最終的な成熟(受精の能力を持つこと)を誘起し、卵子を回収(採卵)する日時を決めます。
一方、自然周期による体外受精では、刺激の内服や注射は一切行わず、排卵直前のGnRHアナログ製剤だけで卵子を回収します。より自然に近い身体にやさしい治療法ですが、採卵する前に排卵してしまう場合があります。
薬の投与方法も含め、詳しい体外受精治療の内容については、診察時に十分に時間をかけ、ご説明いたします。