〜Q&A​〜月経の調子がおかしい

Q 最近、仕事が忙しくなったせいか、生理が遅れるようになり心配しています。病院を受診した方がいいのでしょうか?
A
女性の体はデリケートで、忙しい日が続いたり、環境が変わったりして、強いストレスを感じると、生理の間隔が不規則になることがあります。正常な生理の周期(月経周期)は、生理が始まった日から次の生理が始まるまでの日数が、25~38日とされており、数日のズレは問題ありません。しかし、周期が極端に短い場合(24日以下)や、極端に長い場合(39日以上)は、卵巣の働きが低下し、排卵していない状態の可能性があります。 卵巣の機能は、脳の視床下部や下垂体から分泌されるホルモンにより調節されており、過度の精神的肉体的ストレスは、この視床下部の働きに影響し、生理不順を起こすと考えられています。元は規則正しい月経周期だった方の場合、軽度の生理不順なら、体を休ませてリラックスすることで正常な状態に戻るため、大きな問題はありませんが、なかなか症状が改善しない場合は、血液ホルモン検査や超音波検査等で、ストレス以外に生理不順の原因がないかを調べ、治療を検討することが必要です。ずっと不安を抱えずに、一度ご相談ください。
Q 以前から月経痛がひどく、鎮痛剤を内服していますが、最近痛みがよくならず、友人からピルを勧められました。効果はあるのでしょうか?
A
月経時の痛みは一般に、痛みを起こす物質であるプロスタグランディンが子宮内膜に多く存在するために起こると考えられていますが、年々痛みがひどくなっている場合は、子宮、卵巣などに何らかの器質的病変が起きている可能性があります。特に子宮内膜症では、内膜細胞が本来あるべき子宮の内側以外の場所に発生・増殖し、炎症や周りの組織との癒着をおこし、排便痛、性交痛など月経時以外にも痛みがひどくなることがあります。治療に使われる低用量ピルは、少量のエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の配合薬で、排卵を抑え、子宮内膜を薄く保つ作用や、プロスタグランディンをつくる酵素の量を減らす作用により、痛みを和らげます。また、子宮内膜症の場合は、内膜細胞の活動を低下させることで、病巣の拡大・悪化を防ぐ効果も期待できます。ピルの処方に際し、副作用についても、十分ご説明をした上、効果を確認しながら治療していきますので、痛みは我慢せず、早めに受診して頂くことをお勧めします。
Q 最近、生理が始まる1週間くらい前から頭痛やイライラがひどくなり、仕事を休むことがあります。症状がよくなるにはどうしたらいいでしょうか?
A
月経の始まる10日~数日前から、頭痛、むくみ、吐き気などの身体症状や、気分の落ち込む、イライラ、不安などの精神症状に悩まされる状態を月経前症候群(PMS)といい、排卵後、卵巣から分泌される卵胞ホルモン、黄体ホルモンが変動し、脳内の神経伝達物質の働きが低下することが原因と考えられています。カフェイン、アルコールの摂り過ぎをやめ、ビタミン、ミネラルを多く含む食品や豆腐、納豆などの大豆製品を積極的に食べること、散歩、ジョギング、ヨガなど適度に汗を流す運動をすること、ぬるめのお湯に15分くらい浸かるような入浴法で、できるだけ心身をリラックスすることなどが大切です。症状が強い場合は、排卵を抑え、卵巣から分泌されるホルモンの変動をなくす目的で低用量ピルを内服したり、抗不安薬、抗うつ薬、利尿薬、漢方薬など症状に応じた薬剤を使用することで、日常生活や仕事に支障を来すことのないように治療をしていきます。
Q 現在33歳で、来年結婚を予定しているのですが、もともと月経不順があり、以前産婦人科を受診した時に、排卵していないかもしれないと言われました。何か治療をした方がいいのでしょうか?
A
月経があっても排卵していない状態を、「無排卵周期症」といい、月経がひと月に2度くる、2か月以上間隔があく、少量の出血がダラダラ続くなどの症状をきたすことが多くなります。排卵しているかどうかは、基礎体温をつけることでご自身でも確認できます。排卵をしていない場合は、血液検査等を行い、甲状腺疾患や高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣など明らかな原因がないかを調べます。治療方針は無排卵の原因や状態にもよりますが、すぐに妊娠を望んでみえない場合は、漢方薬やホルモン剤を使い、ホルモンバランスを安定させ、月経周期を整えます。現在、妊娠のご希望がある場合は、治療の初期から排卵誘発剤の内服または注射治療も考慮します。この排卵誘発治療には、一度に複数の卵子が排卵することによる多胎妊娠の可能性や、卵巣が過剰に刺激され、卵巣腫大、腹水貯留などの症状をきたす可能性があることなどを、患者さんに十分にご説明し、治療を進めていきます。
Q 30歳になってから、月経時の出血が増えてきた気がします。産婦人科を受診した方がいいですか??
A
月経中、ナプキンが1時間ももたないほど出血量が多かったり、月経血の中にレバーのような血のかたまりが多くみられる場合を過多月経といい、最近の報告では、月経のある女性の約4割に認められるとされます。めまいや立ちくらみ、疲れやすいなどの症状を伴うことや、血液検査で鉄欠乏性貧血と診断されることもありますが、症状に慣れてしまい、産婦人科を受診することなく経過をみている方が多いのが現状です。 過多月経の原因としては、良性疾患では子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープなどがあり、内診、超音波、MRI、子宮鏡検査などで診断します。加えて、子宮体がんなど悪性疾患の可能性もあるため、定期的ながん検診も必要です。また、子宮に明らかな異常がない、血液凝固異常などの内科的疾患や、婦人科的ホルモン異常に起因する過多月経もあります。 重い貧血が長期間続くと、心臓に負担がかかり、最悪心不全に至るケースもあるため、過多月経症状がある場合は、我慢せずに、早めに受診して頂きたいと思います。

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