一般不妊症治療

不妊症治療

不妊症とは一定の期間、夫婦の営みがあるにも関わらず、妊娠しない状況をいい、その期間は一般的には1年とされています。
ただ、女性は加齢とともに妊娠する確率が低くなり、また流産する率も高くなるため、半年から一年の間、排卵日にタイミングを合わせていても妊娠しない場合は、一度ご相談下さい。

当院の不妊症検査について

月経周期1~2周期(1ヶ月~2ヶ月)の間に一通りの検査ができます。

基礎体温

婦人用の専用体温計で測定します。
2−3ヶ月の記録で低温相と高温相の2相性になっていれば、排卵はあると確認できますが、いつ排卵するかを予測することはなかなか難しいです。
また毎朝測定するということで、ストレスがたまることもあるため、必ず計測しなければいけないということはありません。

精液検査

ご主人の精子の数、運動率、奇形率などを調べる検査です。

精液検査
精液検査

WHOの基準

  • 精液量:1.5ml以上
  • 精子濃度:1,500万/ml以上
  • 運動率:40%以上
  • 正常形態率:4%以上

精液採取の際、長期間射精しないと、かえって検査所見は悪くなるため、通常は2〜3日の禁欲で採精していただくようにしています。
精液の状態は一定ではなく、さまざまな要因によって大きく変動します。過度の飲酒やストレスや、体調が悪かったりすると異常値になってしまうことがあり、1度の検査では、正常異常の診断ができない場合もあります。

超音波下卵管疎通性検査(HyCoSy)/超音波下子宮腔検査(SHG)
超音波下卵管疎通性検査(HyCoSy)/超音波下子宮腔検査(SHG)

超音波の観察下に液体を子宮腔内に注入して、子宮腔内の病変や卵管の通過性を確認する検査です。

卵管の通過性が認められない場合には子宮鏡下に選択的卵管通過性検査を行なうこともあります。

選択的卵管通水
選択的卵管通水

両側卵管の通過性が不良であると診断されている場合、子宮鏡下卵管通水検査(選択的卵管通水)を行うことがあります。まず、子宮鏡で卵管口を観察して、細い管を卵管の中に挿入し、圧力をかけ液体を注入することにより、卵管閉塞状態の診断及び治療を行います。

血液検査
1.下垂体・卵巣ホルモン検査

月経3~5日目及び高温期中期に血液検査を行い、脳下垂体―卵巣の内分泌機能を調べます。

■脳下垂体から分泌される卵巣機能を調節するホルモン(月経3〜5日目採血)

  • FSH(卵胞刺激ホルモン)

    卵胞を発育させるホルモンで、卵巣機能が良好な場合、通常一桁で、機能が低下してくると上昇します。

  • LH(黄体化ホルモン)

    上昇(Surge)することにより、排卵が促される。同時に、黄体化を促進し、黄体ホルモンの産生を促します。

■卵巣から分泌されるホルモン

  • E2(エストラディオール:卵胞ホルモン)

    卵胞発育により産生されるホルモンで子宮頚管粘液を増加させ、子宮内膜を厚くする作用があります。

  • P4(プロゲステロン:黄体ホルモン)

    LH上昇(サージ)により、卵胞成熟もしくは排卵後から産生されるホルモンで、子宮内膜の着床環境を促します。基礎体温は、この黄体ホルモンにより上昇し、高温期となります。

  • テストステロン

    男性ホルモン作用として働き、高値の場合、多毛、痤瘡が目立つ原因になります。また多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断根拠になることもあります。

■その他のホルモン

  • プロラクチン

    下垂体から産生されるホルモンで、妊娠中に増加し、乳汁を分泌させる働きをします。
    高プロラクチン血症では、排卵が抑制され、月経不順、無月経になったり、黄体機能が低下する原因となります。

  • 甲状腺機検査

    TSH、f-T4などを測定し、機能亢進あるいは低下による不妊症及び不意症の原因がないかを調べます。

2.抗精子抗体検査

血液中に精子の動きを抑制する免疫物質がないかを調べます。
抗体が強陽性の場合は、体外受精(顕微授精)・胚移植治療が必要となります。(自費 5,000円別途消費税)

3.クラミジア抗体検査

骨盤内感染の一つであるクラミジア感染症の既往を調べ、卵管機能異常の可能性について検討します。

4.抗ミュラー管ホルモン

卵巣中の前胞状卵胞という小さい卵胞から分泌されるホルモンを調べ、現在の卵巣予備能を評価し、不妊治療の方針を決めます。(自費7,000円別途消費税)

5.抗セントロメア抗体

強皮症などの膠原病の原因となる、自己抗体で、多前核形成卵発生が多くなる可能性があります。(自費3,500円別途消費税)

6.Th1/Th2 比

免疫機能を司るヘルパーT細胞にはTh1とTh2の2種類があり、正常妊娠はTh2優位の状態であり、Th1の上昇は受精卵を異物として攻撃し、妊娠維持に不利に働くことで、着床不全や不育症の原因と考えられています。
(自費21,000円別途消費税)

経膣超音波検査による卵胞計測

月経3−5日目頃より排卵後まで、卵胞発育状況、子宮内膜の厚さ等をチェックします。内診台でモニターを見て頂き、ご説明します。

子宮頚管粘液検査

卵胞が発育し、排卵が近づいてくると、子宮の入り口(子宮頚管)より透明で粘稠度の低いサラサラとした帯下が増えてきます。

フーナーテスト

排卵の時期に性交を行い、子宮頸管(子宮の入り口付近)内にいる精子の状態を調べます。

負荷テスト

排卵障害がある方、高温期ホルモン検査で異常が認められた方などに対して、月経3日から7日目以内に、脳下垂体を刺激するホルモンを投与し、刺激後の脳下垂体ホルモンを調べる検査です。

子宮鏡検査
子宮ファイバースコープによる子宮腔観察

子宮腔内にポリープなどの異常が疑われるときに行います。
また、小さな子宮内膜ポリープは1通りの不妊検査でも発見されないこともあり、原因不明不妊症の場合、この検査を行い、直接子宮内を観察して病変がないかを調べます。
検査に伴う痛みはほとんどなく、短時間で施行できます。

正常な子宮の内腔

正常子宮腔内

子宮内膜ポリープ

子宮内膜ポリープ

当院の一般不妊症治療について

人工授精
人工授精

排卵日あたりに精液を採取して頂き、運動精子を回収し、子宮内へ直接注入する方法です。
子宮内へ精子を注入した後は、自然の妊娠成立と同様に、卵管に到達し、受精します。

頚管粘液の状態や精液所見が不良の場合など、卵管にたどり着く精子の数が不足していると考えられる場合に行います。

人工授精 14,000円(超音波検査含む 別途消費税)
子宮ファイバースコープ下選択的卵管通水治療

卵管通水検査で、卵管の通過性が不良であると診断されている場合に、子宮ファイバースコープで卵管口を確認して、その中に細いカテーテルを挿入し、圧力をかけ生理食塩水を注入することにより、卵管の通過性を回復させる治療です。

子宮ファイバースコープ下選択的卵管通水治療
子宮ファイバースコープ下選択的卵管通水治療

治療中、鎮痛・鎮静剤の点滴もしくは静脈麻酔を行い、眠った状態で行うため、痛みはほとんど感じません。
治療時間は15分〜20分です。

卵管の通過性が回復しても、卵子をピックアップする卵管先端(卵管采)の機能や、卵子、受精卵を運ぶ卵管内膜細胞の機能が障害されている場合は、なかなか妊娠が成立しないこともあり、その場合、体外受精治療を考慮します。

子宮ファイバースコープ下選択的卵管通水治療 25,000円(静脈麻酔代含む 別途消費税)
子宮内膜ポリープ切除
子宮内膜ポリープ切除

子宮腔内に内膜ポリープがある場合、子宮鏡を用いた内膜ポリープ切除術を行うことがあります。
子宮内膜ポリープを手術で取り除くことで、不正出血や子宮への精子輸送障害、着床障害が改善され、妊娠しやすくなるという研究結果がいくつか出ています。
当院では、子宮鏡(子宮の中を見るカメラ)で子宮腔を観察しながら、ポリープを切除する手術です。
一般的に行っている子宮内膜掻爬術によるポリープ切除に比較し、子宮鏡で観察しながらポリープを切除するので、取り残しはなく、処置が確実に行えます。

手術中の痛みは、一般的にごく軽度ですが、当院では静脈麻酔もしくは鎮痛・鎮静剤の点滴を行います。
手術後、出血がありますが、少量であることを確認して、当日帰宅していただけます。
> 子宮内膜ポリープ切除術について

過排卵誘発治療

クロミフェン、hMG等の排卵誘発剤を用い、一度に複数の卵子を排卵させることにより、卵子が卵管に取り込まれる確率を高めようとする治療です。
原因不明不妊症の患者さんに対して行うと、統計上30〜40%くらいの妊娠率向上が期待できますが、3〜4周期施行しても妊娠できなかった場合は、体外受精を検討します。

排卵誘発方法 月経3~5日目より内服または筋肉、皮下注射投与を行います。
副作用
  • 卵巣腫大、腹水貯留など卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が起きる可能性
  • 多胎妊娠の可能性

クロミフェンは抗エストロゲン作用があるため、長期間投与すると、排卵近くになっても、子宮内膜が薄いままで、また頸管粘液の分泌が少なくなることでかえって妊娠しにくい状態になることがあります。

抗酸化療法

女性側の不妊症では、卵子の老化の原因の一つである、活性酸素によるDNAの損傷に対して、抗酸化療法により、活性酸素を制御することで、卵子や受精卵の質を改善し、妊娠率の向上を試みます。

また、男性不妊症でも、体内の酸化ストレス度が高いと、精子の細胞膜が酸化されて、精子の動きが低下したり、数が減少して、男性不妊の原因になるため、抗酸化療法をすることで、精子の酸化度を少なくし、精子の機能の改善を促します。

当院では、血液オゾンクレンジング療法アスタキサンチン等の抗酸化サプリメントの内服治療などの抗酸化療法を行っています。

低反応レベルレーザー治療
半導体レーザー治療器(光生物学的活性化治療 LLLT ; 低反応レベルレーザー治療)

レーザーの医療応用の中で人体に損傷を与えることなく生体反応を刺激、活性化させることを目的とする治療法を、低反応レベルレーザー治療と呼んでいます。出力100mW以下が基本で、鎮痛効果がその代表的なものですが、最近、レーザー光を頚部にある星状神経節へ照射する試みが始まり、さまざまな病状、疾患に対して、その自律神経調節作用が注目されています。

女性不妊症へのLLLTによる効果としては、子宮や卵巣の血流が増えることにより、卵巣機能の改善や子宮内膜の着床不良の改善が期待されています。
LLLT施行方法は、さまざまなストレッチングを併用しながら、頸部および下腹部にレーザーを10分から20分照射します。
痛みは全くなく、また副作用の報告もありません。

低反応レベルレーザー治療 3,000円(別途消費税)
漢方を使った不妊治療
漢方を使った不妊治療

漢方薬は、数千年にわたる効き目や安全性に関する長い経験に基づいて、特有の理論体系が築かれており、西洋医療と合わせて使用することによって、不妊治療の成果をより向上させうる可能性があります。

使う薬剤は体質の違い、症状の状態により検討します。(院外処方になります。)

■女性不妊

排卵がうまくいかない方や、ある種のホルモン的異常がある方、月経痛や月経前の体調不良が強い方
(芍薬甘草湯、温経湯、当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸など)

■男性不妊

精子数が少なかったり、運動率が低いなど精子を作る機能に問題がある場合や、勃起障害(ED)など性機能障害のある方
(補中益気湯、八味地黄丸、桂枝加竜骨牡蛎湯、牛車腎気丸など)

費用について

不妊症検査、治療の中には、健康保険の適用が認められていないものがあり、その場合は自費診療となります。自費診療となる検査、治療についてはきちんとご説明させて頂きます。ご不明な点がございましたら、ご遠慮なくご相談ください。

人工授精の成績

年齢 実施件数 妊娠率(%) 妊娠までの平均回数 妊娠までの最大回数 出産・継続妊娠率(%)
34歳以下 105 7.6 2.0 6 6.7
35-39歳 91 6.6 2.2 7 4.4
40-42歳 48 4.2 1.5 2 2.1
43歳以上 5 0.0 0.0
全体 249 6.4 2.0 7 4.8
人工授精の成績

男性不妊について

不妊症カップルの50%程度には男性側の原因もあるとされており、女性の卵子の老化と同様に、男性の精子も年齡とともに問題が起きやすくなってきます。また、男性全体の精液所見の報告では、過去30年間の精子数は年々減少していることや、ある施設のデータで、ブライダルチェックを受けた男性の約6人に1人(約17%)に、精子の数が少ない、または動きが悪いという何らかの精液所見の異常が報告されています。

男性不妊の原因
1.造精機能障害(男性不妊の約80%)

精子は精巣(睾丸)の中で作られ、精巣上体という細い管を通り抜ける間に運動能力をえて、受精を行うことの出来る完全な精子となります。精巣での精子形成や、精巣上体での運動能獲得過程に異常があると、精子の数が少なくなったり、精子の動きが悪くなったり(精子運動率低下)、奇形率が多くなったりして、受精する力が低下します。

その半分以上が特発性といって原因は不明です。原因が分かっているものの中で最も頻度が高い(35%)ものが精索静脈瘤です。
その他の造精機能障害の原因としては、精巣が陰嚢内に下降しない停留精巣や、多くの場合無精子症を引き起こす染色体異常(「クラインフェルター症候群」など)、視床下部-下垂体で造精機能を司るホルモンの分泌低下による性腺機能低下症、抗がん剤投与や放射線治療、おたふく風邪による耳下腺炎性精巣炎などによる精子の形成障害などが挙げられます。

2.精路通過障害(男性不妊の約5%)

精巣内で精子が作られているにもかかわらず、精液中に精子が出てこない状態です。これは、精路(精子の通り道)が詰まっているために起こります。代表的な疾患として先天性両側精管欠損症や精巣上体炎後の炎症性閉塞、鼠径ヘルニア手術等があります。

3.性機能障害(男性不妊の約15%)

性機能障害には、加齢による精力減退や、睡眠不足や飲酒、栄養バランスの乱れ、過度のストレス等により、有効な勃起が起こらず性行為がうまくいかない勃起障害(ED)や性行為は出来ても腟内射精が困難な腟内射精障害があります。不妊の治療としてタイミング指導を行う場合、タイミングに固執してしまうと性行為そのものの障害をきたしたりする場合もあります。
その他、動脈硬化や糖尿病も性機能障害の原因になります。糖尿病は軽症でも勃起障害となり、重症となると射精障害や精液量が減少し逆行性射精(一部の精液が膀胱内に射出される)や精液が出なくなる無精液症を来します。

男性不妊の診察、検査
1.問診

不妊症に関連する病気の既往の有無、勃起や射精などの現在の性生活の状況を確認します。
男性側の不妊のリスク因子としては、まず小児期の病気に注意する必要があります。小さい頃にヘルニアの手術や、停留睾丸の手術を受けている場合、精子を運ぶ管が詰まったり、精子の数が少なくなることがあります。また、おたふく風邪に罹患したあと、高熱が続いたり、睾丸炎を起こした既往がある場合には、精子をつくる力が低下している場合があります。子どもの頃にがん等の治療を受けている場合は、精子をつくる力が極端に減っている場合があります。
成人期の病気としては、糖尿病が重要です。糖尿病は、軽度の場合には勃起障害や射精障害と言った性機能障害を起こしますが、病気が進んでくると精子をつくる力そのものが低下します。

2.視診、触診

精巣(睾丸)などの外陰部の診察、精巣サイズの測定、男性不妊症の原因として最も頻度の高い精索静脈瘤の有無などを触診で行います。
性機能障害の方では、「勃起の硬さスケール(EHS: Erection Hardness Score)」という勃起時の陰茎の硬さをセルフチェックしていただくこともあります。

勃起の硬さスケール(日本語版EHS)

  • グレード0:陰茎は大きくならない。
  • グレード1:陰茎は大きくなるが、硬くはない。
  • グレード2:陰茎は硬いが、挿入に十分なほどではない。
  • グレード3:陰茎は挿入には十分硬いが、完全には硬くはない。
  • グレード4:陰茎は完全に硬く、硬直している。
3.血液ホルモン検査
  • プロラクチン

    プロラクチンは、脳の下垂体から分泌されるホルモンで、女性の場合、プロラクチンは母乳の分泌に関わっていますが、男性でも薬剤やストレス、下垂体腫瘍により高値になると、精液所見の悪化や性機能障害をもたらします。

  • テストステロン

    テストステロンは男性ホルモンの代表的なものであり、主にLH(黄体刺激ホルモン)の刺激を受けて精巣内で作られます。男性らしい体つきや筋肉の発達、二次性徴期の男性器の発育、性欲の高ぶりなどにも関わっています。

  • LH(黄体刺激ホルモン)

    LHは脳の下垂体から分泌されるホルモンで、精巣のライディッヒ細胞に作用し、男性ホルモン(主にテストステロン)の分泌をコントロールしています。精子数が減少していてこの値が低い場合には、下垂体の機能に異常がある可能性があります。

  • FSH(卵胞刺激ホルモン)

    FSHは脳の下垂体から分泌されるホルモンで、LH(黄体刺激ホルモン)同様、精子の形成をコントロールしています。値が高い場合には、精巣での精子の形成が上手くできていない可能性があります。

4.精液検査
正常形態率 4%以上(これより低いと奇形精子症といいます)
精液量 1.5ml以上
精子濃度 15×106/ml以上(これより低いと乏精子症といいます)
精子運動率 前進している精子が40%以上(これより低いと精子無力症といいます)
正常形態率 4%以上(これより低いと奇形精子症といいます)
白血球率 1×106/ml未満(これより高いと膿精液症といいます)

精液中に精子が存在しないと無精子症といい、精子の通過障害があるものを閉塞性無精子症、通過障害はなく精巣で精子が造られていないものを非閉塞性無精子症といいます。
精液そのものが射精されないと無精液症といいます。

精液採取の際、長期間射精しないと、かえって検査所見は悪くなるため、通常は2〜3日の禁欲で採精していただくようにしています。
精液の状態は一定ではなく、さまざまな要因によって大きく変動します。過度の飲酒やストレスや、体調が悪かったりすると異常値になってしまうことがあり、1度の検査では、正常異常の診断ができない場合もあります。

男性不妊の治療

基本的には、妊娠できる可能性を総運動精子数というもので判断します。 その数値によってどのような治療を行うかは、当院ではおおよそ以下のように決めています。

  • 2,000万以上:タイミング療法(自然妊娠)
  • 1,000万〜2,000万:人工授精
  • 500万〜1,000万:体外受精
  • 500万以下:顕微授精
  • 無精子症:泌尿器科医へ紹介の上、治療方針を決めます。
軽度、中等度(総運動精子数1,000万〜)の造精機能障害
(1)生活指導、内科的治療について
  • 生活習慣等、男性不妊の原因になりうる因子の除去

    過剰な活性酸素により酸化ストレス状態となると、精子は酸化ストレスに脆いことから、精子を造る機能や運動能力にダメージを与えると考えられています。 喫煙、アルコール過剰摂取等、睡眠不足、運動不足など男性不妊の原因になりうると考えられる生活習慣は改善するべきです。また、長時間、膝上でパソコン業務を行ったり、きつ目の下着を穿く、サウナなどの高温環境は造精機能に悪影響を及ぼすため、できるだけ避けるべきです。

  • 薬物療法

    ◎漢方薬、ビタミン剤、抗酸化サプリメント等の内服
    漢方薬
    • 【補中益気湯】
    • 【八味地黄丸、桂枝加竜骨牡蛎湯】
    • 【牛車腎気丸】
    サプリメント
    • 【コエンザイムQ10、アスタキサンチン、トコフェロール(ビタミンE)】
      精子の中心にある中片部という部分にはミトコンドリアが詰まっていて、そこから得るエネルギーで精子の尻尾を動かして前に進んでいると考えられています。この運動により活性酸素が発生すると、酸化ストレスが増加し精子の運動率が低下します。抗酸化酵素であるコエンザイムQ10、アスタキサンチン、トコフェロール(ビタミンE)やなどの抗酸化サプリメントはこの酸化ストレスを減らす作用があります。

    • 【アルギニン・シトルリン】
      一酸化窒素(NO)に変わり、血管を拡張させ、精巣への血流を良くする働きがあります。

    • 【亜鉛、葉酸、ビタミンB12】
      体内の不足状態では、生殖器の機能と精子の運動率が低下する可能性があります。

    • 【L-カルニチン】
      L- カルニチンは、エネルギーの原料である脂肪と結合し、ミトコンドリアに脂肪をスムーズに運び込むことで、ミトコンドリアが活発に働くようになります。

    • 【ビタミンC】
      ビタミンCは、活性酸素を吸収し、精子形成や精子運動を活発にする効果が期待されます。

    • 【DHEA-S】
      テストステロンが低値である場合に内服し、精子を作る機能を高める効果を期待します。

    ◎内分泌療法

    精巣における造精機能には、高レベルの精巣内テストステロン+FSHによるセルトリ細胞刺激が必要です。 脳の視床下部あるいは下垂体の機能不全が原因でおこる精巣機能不全症例(低ゴナドトロピン性性腺機能低下症 FSH、LHが低値)は、著明な精液所見の改善が期待できる数少ない疾患の一つです。

    • hMG(+hCG)療法

      FSH、LH作用を持つhMG製剤あるいはLH作用を持つhCG製剤を定期的に注射投与します。低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の方は、保険診療となります。

    • 抗エストロゲン製剤(クロミフェン)療法

      抗エストロゲン作用により、下垂体からのFSHを上昇させ、精巣内テストステロンレベルを高めることにより、造精機能の改善を促します。
      自費診療となります。(1錠200円/日 税別~)

    • アロマターゼ阻害剤療法

      抗エストロゲン療法と同じように、精巣内テストステロンとFSHを上昇させる目的で使用しますが、クロミフェンと違い、エストロゲンの上昇がなく、テストステロンのみが上昇することで造精機能の改善をより促します。
      FSH、LHが正常である特発性の方に対しても、ある程度の治療効果が報告されています。自費診療となります。(1錠500円/日 税別~)

(2)(1)の治療を併用しタイミング指導をするも妊娠されない場合は、人工授精、体外受精、顕微授精を行います  
高度(総運動精子数〜1,000万)の造精機能障害
(1)の治療を併用し、顕微授精を行います
無精子症の治療
泌尿器科生殖専門医のみえる病院へご紹介します
(1)閉塞性無精子症の治療

■精路再建手術​
精路(精子の通り道)に閉塞がある場合にその部を取り除いて精路を再建します。その閉塞部位によって方法が異なります。手術により、精路通過障害を解除できれば、射出精液中に精子が認められ、自然妊娠が期待できます。

  • ①精管精管吻合術

    パイプカット術後や鼠径ヘルニア術後など、精管の閉塞が原因で無精子症を呈している症例に行います。閉塞部位の末梢側と中枢側の開通している精管同士をつなぎあわせる顕微鏡下精管精管吻合術が行われます。閉塞していた期間や原因等にもよりますが、術後には約80-90%の症例で精液中に精子の出現が認められます。

  • ②精管精巣上体吻合術

    精巣上体炎後等、精巣上体での閉塞が原因で無精子症を呈している症例に行います。精巣上体の一部を切開し、精管とつなぎあわせる顕微鏡下精管精巣上体吻合術が行われます。閉塞の原因にもよりますが、約40%程度の症例で、術後に精液中に精子が出現します。

  • ③射精管解放術

    前立腺嚢胞等が原因で、射精管(前立腺にある精液が尿道に出てくる部位)の閉塞がある症例では、経尿道的内視鏡を用いた射精管解放術を行います。これにより、精液量と精液所見の改善が見られます。

(2)非閉塞性無精子症の治療

■精巣精子採取術+顕微授精​
様々な方法を試みても精液中から精子を回収することができない場合、陰嚢皮膚に切開を入れ、精巣内より精子の採取を試みます。採取した精子は生殖補助医療(顕微授精)で卵子と受精させることになります。この手術で30-40%の方で精子が見つかりますが、残りの方は残念ながら精子を採取できず、顕微授精を行うことはできません。

  • ①精巣精子採取術(simple-TESE)

    陰嚢の皮膚を小さく切開し、精巣組織の一部を採取する方法です。採取した精巣組織に精子が確認されれば、顕微授精に使用します。閉塞性無精子症の症例で、後述する精路再建術が困難もしくは不成功であった症例に行います。閉塞性無精子症の場合は精巣内での精子形成が盛んなため、多くの場合は精子の採取が可能です。

  • ②顕微鏡下精巣精子採取術(micro-TESE)

    非閉塞性無精子症の場合は、精巣内での精子形成が極度に障害されていることが多いため、陰嚢の皮膚切開から精巣を体外に出し、手術用顕微鏡を用いて精子形成のある場所を綿密に探し、精子の採取を試みます。非閉塞無精子症の場合は、この手術で30-40%の方で精子が見つかりますが、残りの方は残念ながら精子を採取を回収できず、顕微授精を行うことはできません。

サプリメント

  • コエンザイムQ10、アスタキサンチン、トコフェロール(ビタミンE)

    精子の中心にある中片部という部分にはミトコンドリアが詰まっていて、そこから得るエネルギーで精子の尻尾を動かして前に進んでいると考えられています。この運動により活性酸素が発生すると、酸化ストレスが増加し精子の運動率が低下します。抗酸化酵素であるコエンザイムQ10、アスタキサンチン、トコフェロール(ビタミンE)やなどの抗酸化サプリメントはこの酸化ストレスを減らす作用があります。

  • アルギニン・シトルリン

    一酸化窒素(NO)に変わり、血管を拡張させ、精巣への血流を良くする働きがあります。

  • 亜鉛、葉酸、ビタミンB12

    体内の不足状態では、生殖器の機能と精子の運動率が低下する可能性があります。

  • L-カルニチン

    L- カルニチンは、エネルギーの原料である脂肪と結合し、ミトコンドリアに脂肪をスムーズに運び込むことで、ミトコンドリアが活発に働くようになります。

  • ビタミンC

    ビタミンCは、活性酸素を吸収し、精子形成や精子運動を活発にする効果が期待されます。

  • DHEA-S

    テストステロンが低値である場合に内服し、精子を作る機能を高める効果を期待します。

精索静脈瘤について

精索静脈瘤は男性不妊症を引き起こす代表的な疾患で、陰嚢内の静脈血管が瘤(こぶ)状に腫れている状態をいいます。特に立っている時や、お腹に力が入った時などは、より血液の流れが悪くなるので、血液のうっ滞が強く起こります。

一般に陰嚢内はお腹の中より3度程度温度が低く、精巣はその低い温度環境の中で精子を作ります。逆に言えば、精巣が温められると精子を作る力が低下するということであり、静脈瘤があると、拡張した静脈内にある体温と同じ36度の血液により、精巣が温められることで、精子形成障害が生じると考えられています。また拡張した血管より精子にダメージを与える物質が放出されることや、精巣が低酸素環境になることも精液所見の悪化を引き起こすと考えられています。

精索静脈瘤は軽いものを含めると全成人男性の15%程度に見られます。これらの男性全員において、精液所見が悪化するわけではありませんが、陰嚢に血管の瘤が数珠(じゅず)状に浮き出ている方は受診をおすすめします。

触診による診断
  • グレード1 立位腹圧負荷(Valsalva maneuver)で触り、確認できる
  • グレード2 立位(患者が立った状態)で触り、確認できる
  • グレード3 視診で静脈瘤を確認できる

精索静脈瘤は、男性不妊症の原因の中で最も外科的に治療可能なものとして認められており、特にグレード2以上の精索静脈瘤では治療の効果が見込めるため、泌尿器科医にご紹介し、手術を検討します。

手術方法としては、逆流の原因となっている精巣の静脈を結紮しますが、その位置によって高位結紮術と低位結紮術があります。一般的には、手術用顕微鏡を用いた顕微鏡下低位結紮術が多く行われ、術後に精子形成能の改善による精液所見の改善と妊娠率の向上が期待されます。

手術による精液所見改善率57%、妊娠率36%との報告や、精子のDNA損傷の低下(精子の質の向上)がみられるという報告も多数見受けられます。しかし、手術を受けてから精液所見の改善がみられるまで約3ヶ月から半年かかるため、不妊治療としては、並行して人工授精や顕微授精を行っていくことも選択肢のひとつです。

逆行性射精について

射精のメカニズムは、性的興奮が最高潮に達すると、まず膀胱のすぐ下の尿道を取り巻く前立腺から「前立腺液」が尿道に分泌されると同時に、膀胱の出口部分(膀胱頚部)がしっかりと閉じて精液の膀胱内への逆流を防止します。さらに精嚢からの「精嚢液」と精巣からの「精子を含んだ液」が前立腺部分の尿道に放出されると尿道内圧が上昇し、その刺激で尿道周囲の筋肉や会陰部の筋肉が律動的の収縮が起こり、精液は勢よく外尿道口より射出され、同時に快感(オーガズム)を感じます。

これら一連の現象は反射的に起こり、射精とオーガズムは連続して起こるのが一般的ですが、それぞれ別な作用機序で起こりますので、射精があってもオーガズムが無かったり、オーガズムがあっても射精がなかったりすることが稀ですがあります。
逆行性射精は、膀胱頸部がしっかり閉鎖されない為に精液が膀胱内へ逆流するために、尿道口から精液が出ないかごく少量しか出ない状態です。

逆行性射精の検査手順
  • 排尿して膀胱を空にする
  • 精子用培養液を膀胱内に注入
  • マスターベーションによりオーガズムを感知
  • 膀胱内の「尿」「精子」「精子用培養液」を丸ごと排尿
  • 尿から精子を採取し、量や活動状態などを調べる

逆行性射精の場合は、血清のホルモン値や精巣の容積に異常が見られるケースは少なく、精子自体は正常に作られているケースがほとんどです。

逆行性射精の治療法
  • 1)薬物治療

    薬物治療は、射精時における「交感神経の活性化」を図り、内尿道口を正常に閉じさせるのが目的で、主に「アモキサン(アモキサピン)」という薬を用いて行われます。
    副作用として眠気を催すため、定期的に服用する場合は運転を避けるなど、注意が必要となります。

  • 2)精子回収+人工授精(AIH)や体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)治療

    交感神経の不具合によって逆行性射精が引き起こされている場合は、薬物治療で回復が期待できますが、既往病や術後の後遺症など、物理的な要因で逆行性射精になった場合、薬物治療では改善が難しく、膀胱より精子を回収し、人工授精(AIH)や体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)などによる妊娠を目指すことになります。

精子の採取方法
  • カテーテルを使って膀胱内を空にする
  • 膀胱内に精子用培養液を注入
  • マスターベーションによる射精
  • 膀胱内の「精子用培養液」と「精子」をカテーテルで回収
勃起不全(ED)の治療
(1)ホスホジエステラーゼ5(PDE-5)阻害薬

ホスホジエステラーゼ5(PDE-5)と呼ばれる血管の拡張を妨げる成分を阻害し、血管を拡張させ、陰茎海綿体の血液量を増加させます。
いずれの治療薬も自由診療での治療になります。(1,300円税別~)

シアリス 効果が2~3日持続。
バイアグラ/リピドラ 効果は短時間であり、性交渉の1時間前に服用する必要があります。
(2)血管拡張作用を持つサプリメント

一酸化窒素(NO)に変わり、血管を拡張させ、陰茎への血流を良くする働きがあります。

  • アルギニン、シトルリン
(3)テストステロン製剤、男性ホルモン作用を持つサプリメント
  • テストステロンクリーム、注射
  • DHEA-Sサプリメント
(4)人工授精

性機能障害に対する治療を行っても無効な場合や、心臓、肝臓、腎臓機能などに異常があり薬剤投与ができない場合で、マスターベーションによる精液採取が可能ならば、人工授精を行います。

Q&A

なかなか妊娠できない

Q 妊娠を希望しており、基礎体温をつけているのですが、月経が不順で、いつ夫婦生活を行えばいいのかよくわかりません。排卵検査薬を使った方がいいのでしょうか?
A
基礎体温をつけることで、低温相と高温相の2相性になっていれば、排卵はあると確認できますが、いつ排卵するかを予測することはなかなか難しく、特に月経不順の方は、夫婦生活のタイミングがとりにくいと思います。 排卵前、卵巣で作られるエストロゲンが上昇し、一定の濃度を超えると、脳の下垂体前葉から黄体形成ホルモン(LH)が大量に分泌され、排卵を促します。この大量分泌をLHサージといい、サージ開始から34~36時間、サージのピークからは10~12時間で排卵が起こります。 排卵検査薬は尿中のLHサージを検知し排卵を予測する方法で、陽性反応が出始めてから、何回か夫婦生活を持たれると妊娠する可能性が高くなります。一般的に、排卵が近づいてくると、エストロゲン上昇の影響で、さらさらとした粘り気の少ないおりものも出るようになり、このおりものが出始めてから排卵検査薬 を使い始めることで、月経周期が不規則の方も、タイミングをとりやすくなると思います。

健康で充実した毎日を過ごせるように

女性の方に対してのホームドクターとして、質の高い産婦人科診療を行ってまいります。

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